行政との協働

行政との協働には、広くとらえると、大きく3つのケースが考えられます。

①「共催」や「共同運営」

イベントや講座の開催など、NPO法人と行政が対等な関係を保ちつつ共同で事業を行うもので、NPO法人がそのネットワークを生かしてアイディアやボランティアの部分を、行政が資金や場所を提供するといった運営がなされます。

②「補助」や「助成」

ある特定の活動をNPO法人の主体性によって行う場合に、その費用の一部を公的な資金で支援するもので、一般財源で行う他、条例による基金、公益信託の設定によるものなどがあります。

③「委託」

これは行政が基本的な予算や枠組みを決め、NPO法人に事業や業務を委託するものですが、

最近では、当初からNPO法人の意見を取り入れるなどのケースも出てきました。

たとえば、リサイクル事業の推進や市民が利用する施設の運営などがあります。

そのような場合、連携が癒着にならないよう情報公開を徹底したり、事業の成果報告をおこなうなど、一定期間ごとでの関係の見直しが必要となります。

また、多くの自治体では行政内部の文書として「協働の指針」や「協働の推進方針」などを策定するなど、協働への意識はますます高くなっています。

民間企業との協働

これまでの企業との関係は、企業からNPO法人への寄附や製品提供などが主流でしたが、近年CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)という考え方が広がりつつあり、いままでの一方通行の関わりから、企業活動にNPO法人の持つノウハウを活かすような双方向の関わりを持った事例もでてきつつあります。

イベント開催や従業員向けのボランティア啓発パンフレットの作成、環境を考慮した商品の開発やNPO法人に対する金融商品の開発など、NPO法人が企画当初から関わり、成果を出してきているものもあります。

一方、NPO法人が企業に対して提言したり、第三者的な立場で企業を評価したりしていくことも、社会的には重要な意味があります。

また、企業との協働の場合は、協働する企業の従業員自らが企業の休暇・休職制度によってNPO法人の事業にボランティアの立場で参加する場合もあり、企業が率先して従業員の参加の機会をつくることが多くなっています。

また、企業によっては従業員の社会参加を増やすため、従業員が参加できる機会を持つプログラムを提案するNPO法人との協働を積極的に進めるところも出てきています。

助成財団との協働

助成財団とNPO法人の関係は一般的に、NPO法人の応募に対して財団が選考し助成するという形をとることが主でしたが、最近では、単にNPO法人の事業に対する資金的支援をするといった関係にとどまりません。

助成財団自体もテーマを掲げ、それと合致した事業に対して資金的助成をする一方で、財団独自のテーマ(実験的テーマ)に取り組むためにNPO法人と共に事業を企画して実施することもあります。

具体的には財団とNPO法人の協働により、新たなNPO法人の人材の育成を実施したり、同じテーマで取り組む複数のNPO法人に対し、財団が仲介して新たなネットワークを誕生させ新規事業を立ち上げ、それに対して助成するなど、さまざまな方法があります。

地縁型住民組織との協働

地縁型住民組織というのは、行政上の区域などで住民の相互扶助や自治的な活動を行う組織を言います。

コミュニティ組織と呼ぶこともありますが、自治会、町内会、婦人会、青年団、消防団など日本には多数存在しています。

商店会や農協・漁協などの地域産業組織、まちづくり協議会などの全員参加を前提とする組織も、これに準ずるものとなります。

一方、NPO法人は、規模の大小はあるものの、行政上の区域に限定されない組織で、参加は基本的に個人の自由であり、また活動内容や地域も自由に決めることができます。

したがって、この2つの違った特性を持つ組織同士は、同一エリアで同じような活動を行う場合、例えば、地域の高齢者の見守りや子育て活動、地域環境の整備や災害救援活動などに取り組む場合には、良い協働の関係が必要となってきます。

そのためには、それぞれの組織が持つ特長を認識しあい、それぞれの得意とする活動やテーマについて知り、それぞれの特性が活きる仕組みを整備することが重要となってきます。

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